テーマ:小説

七草なずなの事件簿29

Chapter29  七草なずながしみじみと言った。 「今までは、善意の人ばかりに囲まれて仕事をしてきたけれど、今回みたいな悪意の人もいるから、事前にきっちりした契約書を作っておかないとあかんことがようわかったわ。」 「そうやねえ。ところで、法律用語では、善意ってのは事情を知らないことで、悪意は事情を知っていることっていう意味…
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七草なずなの事件簿27-28

Chapter27  七草なずなは、春野すずなと恣意社にどんな返事を書くかを相談した。 「恣意社としては七草に仕事頼むことに不安を感じていたが、絵為先生の紹介なので仕方なく応じたって書いてあるんやけれど、こんな書き方許せないわ。たとえ絵為先生の紹介であってもふさわしくないと思ったら断ればいいのに。こっちから仕事をさせて欲しいと言…
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七草なずなの事件簿25-26

Chapter25  春野すずなは、徹底抗戦の方針を取るには、不利な条件が生まれたことに気がついた。相手が支払いを拒否し続けるのなら、支払う義務の有る無しだけが問題になり、裁判官の「支払うべし」との判決は十分期待できる。しかし、相手が「払う」という姿勢を見せた以上、今度は、金額が適切か否かという問題になる。そういうことについて裁判…
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七草なずなの事件簿23-24

Chapter23  春野すずなは続けた。 「まず、美衣市への確認によって、仕事の完成は明らかなので、原告には請負代金請求権が発生していると主張。証拠として、美衣市から送ってもらった現物を添付する。次に、被告の『仕事を途中で投げ出した』との主張は、二つの仕事には物的にも契約としてもなんら牽連性がないので、その主張は失当であり、そ…
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七草なずなの事件簿21-22

Chapter21  七草なずなは、恣意社の取引先について、思い当たるふしがあった。 「絵為先生の事務所は、きっと、恣意社と取引がある。だって、打ち合わせの時、逆根持社長が、『絵為先生にはお世話になっているから…』というようなことを言ってたから。」 「すごい情報やん。それやったら、この件について、絵為先生に相談してみる?」 …
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七草なずなの事件簿19-20

Chapter19  大学でのアドバイス通り、七草なずなと春野すずなは、さっそく内容証明郵便を出してみることにした。20文字を1行として、26行を1枚とする。別に何枚になってもかまわないのだが、枚数毎に料金がかさむので、なるべく1枚におさめたい。専用の用紙もあるようだが、別にどんな用紙でもかまわない。郵便局がチェックするのは、字数…
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七草なずなの事件簿17-18

Chapter17  七草なずなと春野すずなは、学生たちに事情を説明した。一番知りたいポイントは、後の仕事を断ったことが、契約の不完全履行に当たるかどうか、という問題だ。  リーダー格の女性が、「後の契約は、まだ、ちゃんとした契約になっていないので、それを断っても、不完全履行には当たらないと思います。したがって、最初に完成させた…
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七草なずなの事件簿15-16

Chapter15  いざ裁判となると、本当に、こちらの主張が正しいのかどうか、一度専門家に見てもらう必要がある。特に、少額訴訟という一発勝負に賭けるつもりなのだから、事前の準備は万全にしておかなければならない。しかし、弁護士の相談料といえば、30分で4~5000円もかかる。30分で相談が終わるとは限らない。  その時、春野すず…
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七草なずなの事件簿13-14

Chapter13  七草なずなと春野すずなは、あらかじめ、もし、恣意社が、真摯な態度に出てくるなら、請求金額についてある程度譲歩してもかまわないということにしていた。しかし、逆根持社長の態度は、全く誠実さに欠けていた。 「仕事をしたのに、代金をまったく支払ってくれないなんて、おかしいです。」  そういうすずなに対して、社長は…
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七草なずなの事件簿11-12

Chapter11  春野すずなは、恣意社の逆根持社長の法律知識が案外いい加減なものであることに気づいた。 「美衣市から依頼があった仕事は、ちゃんと仕上げて、もう、美衣市では使用されているんですよ。ちゃんと支払うのが当たり前でしょう。」 「もう一つの仕事を勝手に断って、こっちはえらい迷惑を被ったんだよ。」 「じゃあ、どうして、そ…
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七草なずなの事件簿9-10

Chapter9  それから数日後、美衣市からの郵便が届いた。七草なずなは、おそるおそる開けてみた。自分がした仕事が全面的に採用されているのを確認でき、うれしさがこみ上げてきた。と、同時に、自分への報酬を支払わない恣意社に対する怒りが沸々と湧いてきた。  世の中には、何かひどいことを言われたり、されたりした時、すぐに反応して言い…
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七草なずなの事件簿7-8

Chapter7 「請求金額が高いから負けてくれという話かと思ったら、払わないだなんて! しかも、法律用語を振りかざして、こちらを馬鹿にしている感じがありありとわかるわ。」と、春野すずなは、今の電話のやりとりについて、七草なずなに詳しく伝えた。 「仕事を途中でほっぽりだしただなんてひどい! ひどすぎる! 名誉毀損で訴えてやる。」…
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七草なずなの事件簿5-6

Chapter5  しかし、いくら待っても恣意社からの振り込みはなかった。これがないと生活に困るという金額でもないから、もうほっておこうかというなげやりな気持と、ちゃんと仕上げた仕事に報酬がまったくないことの悔しさが入り交じって、だんだん、他の仕事が手に着かなくなってきた。  電話でひとこと問い合わせをしてみればよいとは分かって…
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七草なずなの事件簿3-4

Chapter3  仕事に疲れたなずなはすずなに仕事の愚痴を吐き出した。すずなは、愚痴を聞くのも仕事のうちと割り切って、なずなの精神状態を少しでも平静にもどそうと、相づちをうった。 「どうも、この恣意社の人は仕事の手際が悪すぎるわ。最初の打ち合わせになかったことを次々追加してきたり、さんざん向こうの言うとおりにあれこれ手直しした…
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七草なずなの事件簿1-2

 今から約20年前に行政書士突破塾の場をお借りして発表した小説です。  このほど「田宮行方の世界」の舞台として再登場させようということになりましたので、まずは元の小説をご覧ください。 Chapter1  七草なずなは、学校を卒業後、小さな会社に勤めるOL生活をしばらく続けていた。しかし、特技を生かした副業の方が忙しくなり、…
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「陽気な日曜日の世界」論その10──読者への挑戦状の回答(そして反省)

 この記事はまず「陽気な日曜日の世界」をご覧になってからお読みください。  読者への挑戦状の問題は、「陽気な日曜日の世界」によって、実は世界の一部が改変されたのでしたが、それはどの箇所だったのでしょうかというものでした。  さて正解の発表です。 ダララララララララララララ…  正解は 第四話 モリエール的喜…
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「陽気な日曜日の世界」論その9──資料

 この記事はまず「陽気な日曜日の世界」をご覧になってからお読みください。  今回は、「陽気な日曜日の世界」の対戦で各人が持っていたデッキを紹介します。小説中に登場せず、デッキの中に眠ったままのカードもずいぶんあります。(一つのデッキは40枚以上60枚以下と決められています。)  実際にこのデッキで対戦してみたら、はたして小説のよ…
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「陽気な日曜日の世界」論その8──補遺

 この記事はまず「陽気な日曜日の世界」をご覧になってからお読みください。  すずなのデッキでは《ご隠居の猛毒薬》はかなり活躍したカードでした。  実は、当初の案では、次のような場面がありました。しかし、1ターンに手札から出せる魔法・罠カードはそれぞれ1枚までという「スーパーエキスパートルール」を採用したために、この場面がどうして…
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「陽気な日曜日の世界」論その7──未来からの啓示

 この記事はまず「陽気な日曜日の世界」をご覧になってからお読みください。  『陽気な日曜日』という小説は漫画『ガスコーニュのつわものたち』の続編として書かれたということは前にも述べました。  小説を先に掲載しましたが、作られたのは漫画の方が先でした。(現在掲載中の漫画は、その時に作成した原稿にさらに加筆修正しつつあるものです。)…
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「陽気な日曜日の世界」論その6──過去との邂逅

 この記事はまず「陽気な日曜日の世界」をご覧になってからお読みください。  『陽気な日曜日』は17世紀末から18世紀初にかけての物語ですが、そこには過去に関する情報がたくさんつまっていて、それが現代の私たちと共通の知識の土台にもなっています。  過去の人々が記した著作の中には、当時は有意義であったり斬新であったりしたものも、今日…
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「陽気な日曜日の世界」論その5──鉄の法則

 この記事はまず「陽気な日曜日の世界」をご覧になってからお読みください。  この世界は“固有名詞以外の外国語は使用することができない”という鉄の法則の支配下にあります。そして、フランス語はすべて作者の母語、すなわち日本語で表現されます。  私が『陽気な日曜日』を書くに当たって、そういう縛りを自分に課した理由は、外国の文学を読…
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「陽気な日曜日の世界」論その4──否定の否定

 この記事はまず「陽気な日曜日の世界」をご覧になってからお読みください。  田宮さんと『陽気な日曜日』の世界とは、基本的に互いに相容れない存在です。どちらも相手をまずは否定しています。  冒頭の田宮さんによるイエス・キリストに関するざっくり解説──未だかつてこんなわずかな叙述でイエスの生涯について語られたことがあったでしょう…
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「陽気な日曜日の世界」論その3──エジプト神話とノストラダムス

 この記事はまず「陽気な日曜日の世界」をご覧になってからお読みください。  とは言っても、『陽気な日曜日』はあくまでも歴史小説です。それを、どうやって現代や近未来(あるいは異世界)の物語とうまくつなげることができるか、いろいろ悩みました。  しかし、その答えを探すのに遠くまで行く必要はありませんでした。それは、原点に立ち返ること…
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「陽気な日曜日の世界」論その2──前史

 この記事はまず「陽気な日曜日の世界」をご覧になってからお読みください。  漫画『遊戯王』に端を発したデュエル小説と17世紀フランスの歴史小説、いわば全く畑違いの分野をつなぐコラボ小説を、いったいどうして書くことになったのか、今回はその前史を明らかにしてみようと思います。  そもそもの発端は、アッキーさんの小説『決闘都市』で…
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「陽気な日曜日の世界」論その1──読者への挑戦状

この記事はまず「陽気な日曜日の世界」をご覧になってからお読みください。 その他の既読推奨 ・予告文 ・アッキーさんによる紹介 ・春妖(まえがき・前編・後編)  この「陽気な日曜日の世界」というコラボ小説は、元の小説「陽気な日曜日」の外伝であると同時に、総集編でもあり、またメイキングともなりました。   これから約…
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予告! 「田宮行方の世界」に「陽気な日曜日」が参入

 みなさ~ん、春乃すずなはもう小説を書かないのかなと思っていませんか?  実を言うと、ひそかにいくつかの構想を温めておりまして、そのひとつが今回発表する「陽気な日曜日の世界」です。  これは、独立した小説ではなく、『田宮行方の世界』という遊戯王カードゲームを描いたコラボ小説の第20話にあたるものです。  『田宮行方の世界』…
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「春妖」について

「春妖   まえがき」 「春妖   前編」 「春妖   後編」 小説仲間のアッキーさんが、私の小説と私のデュエルカードを使ってこんな小説を作ってくれました。 アッキーさんがデュエル小説を発表している時に、実は「私もカードを持っている」と告白したことがきっかけで、こんな企画が成立しました。 子どもが遊んでいたカードの…
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エピローグ

 ある日、彼は、いつもの自分の寝床で静かに横たわっていた。いつもと違うことといえば、彼の寝台の周囲が整頓されていたこと、そして家の中に新品の農具が置いてあったことぐらいであった。彼は長い熟睡から目覚めたばかりであった。もう陽は高く昇り、家族の者たちは皆仕事に出かけ、家の中はひっそりしていた。  彼は寝台から起き出してきて、大きな伸びを…
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落ち穂拾い-18

 ガブリエルはマテューから買ったばかりの鋤を家の中に持って入った。ついでにディマンシュの様子を見ておこうと思っていたのだった。  ディマンシュは生命の危機を脱した後、まだ寝台から起きられないうちから何やら取り憑かれたように昼も夜も一心不乱に書き物をしては、また熟睡するという生活に入った。  皆に恩赦が出た頃にはどうにか歩けるよう…
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落ち穂拾い-17

「神父様、お探しいたしました。」  リヴェール神父が港からアイルランド行きの船に乗り込もうとしている時だった。彼の姿を見つけた使者は託された手紙を辛うじて渡し得た。リヴェール神父がそれを受け取ると同時に、出港の合図が鳴らされた。彼は船の甲板でその手紙の封を切った。 『ルール家のシャルロットからか。懺悔の手紙らしいが…、もはや会うこと…
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