サクラサク読書案内(7) 木原 敏江『風恋記』(『夢の碑』より)

 『夢の碑』は、平安、鎌倉、南北朝、室町、江戸など様々な時代における「鬼」を描いた作品です。「鬼」とは超常的な能力を持つ者であり、その能力の現れ方は一様ではありません。ある時は悲劇をもたらし、ある時はハッピーエンドとなります。

 様々な話がありますが、ファンタジー的要素の中に歴史的要素が重要な位置を占めているのが『風恋記』です。舞台となるのは鎌倉時代の初期。このころは、武家政権が誕生したとはいえ、まだまだ不安定な頃でした。鎌倉(武士)と京(公家)との対立、そして鎌倉幕府の中での対立など複雑な諸相が存在します。
 そんな中で、主人公の融明(とおるあき)は、板東武者の跡取りとして生まれ、たくましく育ちます。そして、孤児となった不思議な力を持つ少年露近(つゆちか)と親友となります。しかし、そんな二人を引き裂く出来事が…。
 融明が幼児から少年、青年へと成長していく様子がすばらしい筆致で描かれており、その格好良さに思わず惚れ惚れしてしまいます。

 歴史と古典学習の上で重要なのが、鎌倉では三代将軍の源実朝と北条義時、そして京では後鳥羽院が登場する点です。

 実朝は和歌を詠むのが好きで、自分でも『金槐和歌集』を編纂しました。百人一首にも

世の中は つねにもがもな なぎさこぐ あまの小舟の 綱手かなしも

という歌が選ばれています。
 しかし、権力闘争には不向きの人物で、政治の実権は母方の叔父北条義時が実権を握ることになります。

 一方、後鳥羽院もまた歌が得意で、こちらは『新古今和歌集』を編纂しました。『万葉集』『古今和歌集』と並んで、日本の三大和歌集として、よく知られています。
 後鳥羽院の歌も百人一首に選ばれています。

人もをし 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに もの思ふ身は

 実朝が影の薄いひ弱な人物であるのとは対照的に、後鳥羽院は政治的野心も満々の強烈な個性を持つ人物として描かれています。

 漫画では、未来予知という形で、承久の乱が登場します。政権を公家側に取り戻そうとして鎌倉方に戦を仕掛けるのですが、結局敗北してしまうのです。後鳥羽院が隠岐へ島流しになることまでをも、融明と露近はわかってしまいます。そんな二人が選んだ道は…。


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