宝塚歌劇『All for One』 ~ダルタニアンと太陽王~

宝塚歌劇『All for One』 ~ダルタニアンと太陽王~

http://kageki.hankyu.co.jp/revue/2017/allforone/index.html

 宝塚を見に行ってきました。
 さすがに豪華絢爛で、歌も踊りもとても素敵でした。たまにはこういう目の保養もいいものです。お金がないのでB席(二階席)で見ましたが、これがかえって全体の動きを捕らえることができてよかったと思いました。

 ストーリーは、『三銃士』・『二十年後』・『鉄仮面』のエッセンスを凝縮し、それに宝塚らしさをちりばめたものでした。宝塚ファンはもちろん、私のような原作派にとっても、思わず感心したりにんまりしたりする場面がたくさんありました。

 公演は終了したのですが、DVDが販売されているので、ネタバレにならないように気をつけて紹介したいと思います。

 年代的には、マザランが権勢を誇り、ルイ14世とスペイン王女の結婚を画策している頃なので、原作からすればダルタニャンはすでに中年。アトス・ポルトス・アラミスも引退しているはすですが、そこは宝塚です。ガスコーニュから出てきてまだ数年のガスコン訛りの抜けない無骨な若者という設定になっており、三銃士の面々も健在です。

画像 思わず笑ってしまったのが、ルイ14世登場の場面です。バレエで「アポロ(太陽)」の役をしたルイ14世を描いた絵があるのですが、舞台のルイ14世はそれをそのまま再現した衣装を身につけてきたのです。
 大筋では史実とも原作とも異なる展開になるのですが、個々のモチーフは、原作や史実をうまく取り入れて、なるほど!と思わせる筋立てに仕上がっていました。

 ダルタニャンや三銃士の立ち回りももちろん格好良く、アラミスの女たらし神父ぶりには笑いを抑えられませんでした。

 しかし、私が一番うならされたのは、マザランでした。
 実は大昔、テレビで宝塚が『三銃士』をやっていたのを見たことがあります。ダルタニャンと銃士はそれなりに素敵だったのですが、リシュリュー枢機卿が可愛らしすぎて…。宝塚ですから、出演者はみな当然若い娘ばかりです。それが中年の男性、しかも悪役を演じようというのですから、どうしても無理があります。
 ところが、今回見たマザランは、その立ち居振る舞いといい、話しぶりといい、まさに堂々たる権力者らしさにあふれていました。
 マザランの姪たちも単なる添え物ではありませんし、オリジナル・キャラのマザランの甥は、史実ではおそらくコルベールの弟にあたるのだと思うのですが、これも楽しく、かつ重要な役を演じていました。

 ボーフォール公爵が重要な役割を担ったのも、私としてはうれしいところでした。『二十年後』でボーフォール公爵はフロンド派の頭目として捕らえられており、その牢獄から脱獄する場面が見所の一つだと思っていたのですが、映画化されてもその場面が取り上げられたことはありませんでした。しかし、今回の舞台でそれが取り上げられたのは予期せぬ驚きと喜びがありました。

 宝塚の恒例として、最後には出演者一同が大階段から降りてきて挨拶をするのですが、最後の最後、ダルタニャンがなんと豪華絢爛な羽根飾りを背負って降りてきたのには度肝を抜かれました。劇中でさんざん「無骨なガスコン」と自称していたのに、この豪華絢爛さ! 
 でも、当時の銃士隊に二つの部隊があって、袖のレース飾りの美しさを競い合っていたと、佐藤賢一氏の『ダルタニャンの生涯』にありましたから、この演出も史実からそう離れたものではないのかもしれません。

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