第57話 抵抗の形-1

 1685年、フランスの絶対君主ルイ十四世は、信教の自由を定めたナントの勅令を廃止し、カトリック以外の宗教を禁じた。迫害に耐えかねたユグノーによって「カミザールの乱」が引き起こされ、南フランスのセヴェンヌは2年にわたり反乱軍の影響下にあった。
 しかし、ヴィラール元帥の懐柔をも駆使した作戦でカミザールはほぼ壊滅状態に追い込まれた。中心的な人物はほとんどが逮捕され、恭順の誓いをさせられた挙げ句国外退去の身となった。一方、恭順を誓わない者は牢獄に幽閉され続けている。山の洞窟に隠れ潜んでいた者たちも次々に捕らえられていった。

 カミザールの賞金首を探し求めていた十字架青年団が、高い懸賞金のかかった人物を手中に収められたのはまったく偶然の出来事であり、しかも彼ら自身その捕縛に直接の役割を果たしたわけでもなかった。それでも、彼らは自分達の手柄に有頂天になっていた。それと同時に、別の獲物を思う存分に扱えなかったという欲求不満も抱いていた。
「この男をまっすぐモンペリエに連れて行くのか?」
「どうするつもりだ? 早く賞金をもらって山分けにしようぜ。」
「いや、我々にあんな生意気な口をきいた奴をさっさとヴィラール元帥に差し出してしまうというのはどうにも胸くそが悪い。」
「そうだな。元帥のやり方は甘い。」
「降伏すると言いさえすれば無罪放免、ジュネーヴに追放するだけですますんだからな。」
「しかも、その旅費まで負担するというじゃないか。」
「甘い、甘すぎる!」
「我々の手でしっかりとお仕置きをしておこうじゃないか。元帥のところに連れていくのはそれからでも遅くないだろう。」
「そうだな。」
「で、どうする?」
「この男、高い賞金がかかっているからには、カミザールの首領か幹部だろう。まずは、ユグノーの村々を惨めな姿で引き回してやろう。」
「いいぞ。」
「ユグノーの連中も、こいつが犬のように引きずり回されている姿を見れば幻滅するだろう。」
 一行はモンペリエへ向かう道から進路を変更した。

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