第43話 アブラハムの子孫-1

これまでのあらすじ
 ルイ14世がユグノーに信仰の自由を禁じてから17年が経過した1702年、セヴェンヌではユグノーたちの反乱が起こった。反乱部隊は「カミザール」と呼ばれるようになり、これまでの弾圧に耐えきれなくなっていた人々が次々とその部隊に加わっていった。
 カトリックの貴族の女性を妻にしながらその結びつきを許されないアルもまたカミザールに加わることになった。
 アルはジャンかロランかマゼルの家を訪ねてみようと考えた。アルの家からロランとマゼルの家に行くには西南の方向に山道を行き、一方、ジャンの家に行くには東南の方向に山を降りていくことになる。ジャンの家を訪ねて無駄足だった場合のことを考えるとロランかマゼルの家を最初に訪ねた方が合理的である。
 アルはまずマゼルの家を訪ねた。彼を出迎えてくれたのはマゼルの両親と妹と二人の弟たちだった。
「アブラアムか…。あいつなら七月のあの事件以来、わしらの元に帰って来てないのだ。何の連絡もないから、どこでどうしているのか、無事でいるのかも全くわからんのだ。」
 アルは手がかりがつかめないことにがっかりした。
「そうですか…。」
 アルは出て行こうとしたが、マゼルの母親が彼を引き留めた。
「アルベールさん、これからどこへいらっしゃるの?」
「ロランの家に行ってみようと思ってるんですけど。」
「そこはここから近いのかしら。」
「二時間も歩けば着くところですが。」
「まあ、もう日も暮れているのに今から二時間だなんて。せっかくアブラアムのお知り合いがいらしたんだから今日はここに泊まっておいきなさいな。ね、そうしましょう。お腹もすいているでしょう。」
 アルはマゼルの母親の勧めるがままに、一晩世話になることにした。
『マゼルの母ちゃんは優しくて料理もうまくて、それになかなかの美人だ。あいつに全然似てないな。』

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