第38話 闇の中へ-1

 これまでのあらすじ
 1685年、フランスの絶対君主ルイ十四世は、信教の自由を定めたナントの勅令を廃止し、カトリック以外の宗教を禁じた。それ以来、フランスのプロテスタント(ユグノー)は、厳しい迫害を受けてきた。
 1702年7月24日、セヴェンヌで、最も忠実かつ厳格に国王の命令を実行していたシェーラ司祭の屋敷が襲撃された。捕らえられていた者たちは解放され、シェーラ司祭は殺害された。「カミザールの乱」の開始を告げる出来事であった。
 カトリックの貴族の娘との結婚をその父親に認めてもらうために、実現不可能と思われていた条件を達成したユグノーの青年アルは…。

 ルール家にやってきた使者は、ポン・ド・モンヴェールにおける戦乱の開始とアドルフへの新たな任務を伝え終わると、足早に去っていった。
 アドルフは薄笑いを浮かべてアルに向かって言った。
「さて、アルベール・ブライユとやら。何とも皮肉なことだが、おまえがぼくの義弟になるというのなら、今の命令に従ってもらわなければならないことになる。」
 もちろんアルはユグノーと戦わさせられる民兵に加わるつもりは全くなかった。
「そんなことよりも、シャルロットに会わせてください。約束を果たしたのだから。」
 しかし、つい先刻、暖かな笑みを浮かべてアルの手を握ったはずのルール氏は、眉根にしわを寄せて首を振った。
「アルベール君、君がもしも犯罪者の仲間だというのなら、シャルロットに会わせるわけにはいかない。」
「ええっ?」

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この記事へのコメント

奄美の黒兎
2009年07月01日 11:13
ええっ?約束を守って下さいよ!
2009年07月02日 14:23
奄美の黒兎さん、どうやらルール氏は心変わりしてしまったようです。

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