第26話 手と手-1

これまでのあらすじ
 1685年、フランスの絶対君主ルイ十四世は、信教の自由を定めたナントの勅令を廃止し、カトリック以外の宗教を禁じた。これまで共存していたユグノー(カルヴァン派のプロテスタント)とカトリックの人々との間には、深い対立が生じることになった。多くのユグノーがフランスから亡命し、あるいはカトリックに改宗していったが、南フランスのセヴェンヌには、心の底から改宗したのではない人々が数多く存在していた。

 ユグノーの青年アルベール(アル)は、従兄のディマンシュの援助によって、宗旨と身分の違いを乗り越えて、カトリックの貴族の娘シャルロットと結婚するが、彼女の父親によって引き離される。ただし、彼女の兄アドルフとラテン語で議論して勝てば婿として認めるという約束を信じてラテン語の勉学に励む。
 アルは高価なラテン語の辞書を手に入れるために、ラコンブの農場で働くことになる。そこで、ラコンブの甥ジャン・カヴァリエと出会い、親しくなる。また、マゼルや謎の青年とも出会うが、彼らとは険悪な関係である。


画像 農家の青年アブラアム・マゼルはそのたくましい体躯と太い腕でラコンブの農場の働き手として大いに役立っていた。しかし、実のところ、彼にとってはすべてが面白くなかった。まずもって、人に指図されて仕事をするというのが彼の性に合わなかった。しかし、彼はこの仕事を引き受けざるを得なかった。ラコンブのところで働くという契約を結んだのは父親であったが、その父親が怪我をしたために彼が代わって働かなければならなくなったのである。彼がどうしても嫌だと言えばその意見が通らないわけではなかった。しかし、そうすれば別のもっと耐え難い困難が待ち受けていることを彼は知っていた。
 家には三人の幼い妹や弟たちがいた。一番年の近い妹ガブリエルが七歳、その次の弟ルイが四歳、そして末の弟ジョゼフは昨年の秋に生まれたばかりだった。十八歳のアブラアムと年が離れているのは、父の後妻の子どもたちだからであった。彼の実母は彼が三歳の時に亡くなったのである。
 この継母と彼とは折り合いが悪かった。継母は別におとぎ話によく登場するような底意地の悪い女性ではなく、きわめて善良な女性であったが、愚痴っぽいところがあった。そしてその性向は年を追うごとにひどくなっていった。

(画像はマゼルの家)

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この記事へのコメント

表裏
2008年01月01日 21:37
記事とは関係ないんですけど…あけましておめでとうございますv(^^)v今年もいろいろとコメントしていきますのでよろしくお願いします(o_ _)o
2008年01月02日 00:08
表裏さん、あけましておめでとうございます。
表裏さんのコメント、いつも楽しみにしています。こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。

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