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ポワーヴルはディマンシュの少しはにかんだような笑顔を見て安心し、晴れ晴れした顔でこういった。 「ぼくは後から来る者のために道を整えておくよ。」 ディマンシュは彼の言葉が気になった。 「まさか君は自分を洗礼者ヨハネにでもなぞらえているのか?」 「おこがましかったかな。でも、現在のフランスの地はまさしく荒野のようなものだろ。ぴったりじゃないかと思ってね。」 「確かにそうだ。しかし、それだけに気になる…。くれぐれも身の安全に気を付けてくれたまえ。」 ディマンシュがポワーヴルの行った言葉を気にするわけは、イエスの先駆者である洗礼者ヨハネは、ヘロデ王とその妻に憎まれ、志半ばで首をはねられることになったからである。 「なあに。言われなくてもわかっているよ。それより、君に一つ頼みがあるんだが。」 「君はまたぼくに難題をふっかけようとしているんだな。」 「そんなに難題ばかりふっかけてきたっけ? でも、今回の頼みは実に簡単なことなんだ。旅に持っていかない私物はあらかた処分したんだが、これだけは手放す気になれなくてね…。」 ポワーヴルはひとふりの剣を差し出した。それはディマンシュには見覚えのある剣であった。 |
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