テーマ:読書

サクラサク読書案内(15) のぞゑのぶひさ・岩田和博『神聖喜劇』

 大西巨人の小説『神聖喜劇』を漫画にしたものです。難解な小説だと思われていますが、そんなことはありません。主人公東堂太郎も、登場する様々な人々もみんなキャラが立っており、そのぶつかり合いが、ある時は深刻な、ある時は笑える場面になっています。  小説で経過する期間は1942年1月から4月までのわずか3ヶ月であり、しかも、その舞台は対馬の…
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サクラサク読書案内(14) 水木しげる『コミック昭和史』

 水木しげるといえば妖怪もので有名ですが、戦記漫画もたくさん書いています。自ら従軍した時の悲惨な体験が大勢がベースになっているので、どれもみな迫力と怨念とに満ちています。  1922年(大正11年)生まれの著者にとって、昭和の始まりはちょうど物心つく頃と一致しています。『コミック昭和史』は、そんな自らの個人史を織り交ぜながら、昭和史の…
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サクラサク読書案内(13) 市川ジュン『陽の末裔』

 『陽の末裔』というこの題名は、「元始、女性は実に太陽であった」という平塚らいてうの言葉に由来しています。近代日本において女性の権利はひどく侵害されていました。しかし、大正デモクラシーの時代に社会運動が活発になり、女性の権利獲得運動も広がりを見せました。平塚らいてうはそんな時代の活動家です。  この漫画では二人の少女が、対照的な方法で…
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サクラサク読書案内(12) 池田 理代子『ベルサイユのばら』

 あまりにも有名な作品ですが、私自身がリアルタイムでこの漫画を読んでいたこともあって、フランス革命を知る上ではずせません。  今でこそ、その地位は揺るぎない物がありますが、当時、週刊マーガレットでこの漫画が連載される時に、「少女には難しい」として、あやうくボツになりかけたそうです。この話を後になって知って仰天したことがあります。時代に…
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サクラサク読書案内(11) 矢口高雄『奥の細道』

 中央公論社からマンガ日本の古典というシリーズが出ています。  漫画界の巨匠を集めて日本の著名な古典を漫画に、という構想自体はすばらしいのですが、おそらくページ数の制限により、描きたいことが十分に描けていないものが多いように思いました。『平家物語』なども悪くはないのですが、どうしてもダイジェストになってしまって、漫画としての魅力が…
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サクラサク読書案内(10) よしながふみ『大奥』

 よしながふみの漫画はどれも面白く、私の一番のお気に入りは『西洋骨董洋菓子店』です。また、『ジェラールとジャック』では、『ベルサイユのばら』とは違った観点からフランス革命を描くことができるのかと感心しました。  さて、この『大奥』という作品は、徳川家光の時代に、主に若い男性がかかる疫病が蔓延して男性の人口が急減したという設定です。…
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サクラサク読書案内(9) みなもと太郎『風雲児たち』

 至る所にギャグが散りばめられているのですが、実のところ、いたってまじめな歴史漫画です。  冒頭は坂本龍馬ら「風雲児たち」が、長い鎖国の時代を打ち破って大活躍をする…、と思わせておいて、いきなり「話は四百年前にさかのぼる」と、関ヶ原の戦いの場面となります。幕末という時代を理解するにのに、なぜ関ヶ原にまで遡らなければならないのか。それは…
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サクラサク読書案内(8) 白土三平『忍者武芸帳 影丸伝』

 戦国時代を描いた漫画はとてもたくさんありますが、そのほとんどが戦国武将を主人公として描いています。もちろん、それはそれで面白いのですが、ここではそれらとは観点の異なった作品を紹介しましょう。白土三平の『忍者武芸帳 影丸伝』です。  戦国時代といえば、戦国大名たちがしのぎを削る様子がクローズアップされがちですが、支配層(武士)VS被支…
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サクラサク読書案内(7) 木原 敏江『風恋記』(『夢の碑』より)

 『夢の碑』は、平安、鎌倉、南北朝、室町、江戸など様々な時代における「鬼」を描いた作品です。「鬼」とは超常的な能力を持つ者であり、その能力の現れ方は一様ではありません。ある時は悲劇をもたらし、ある時はハッピーエンドとなります。  様々な話がありますが、ファンタジー的要素の中に歴史的要素が重要な位置を占めているのが『風恋記』です。舞…
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サクラサク読書案内(6)  灰原薬『応天の門』

 『応天の門』は、菅原道真(845-903)と在原業平(825-880)を中心とする平安時代を描いた作品です。この二人は歴史上ばかりでなく、古典の方面でもぜひ知っておきたい人物なので、この作品を取り上げました。  私はこの二人が同時代人で、しかも在原業平が年上であることは、この漫画を読むまでは意識していませんでした。しかし、確かにその…
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サクラサク読書案内(5) 山岸涼子『日出処の天子』

 日本の古代史を描いた漫画が近年多く見られるようになりましたが、その嚆矢としてはやはり山岸涼子の『日出処の天子』を挙げたいと思います。  厩戸王子が超能力者という設定が特異ではありますが、これ自体は伝承をそのまま漫画化したものとして有りだと思います。  歴史ものとして評価したいのは、蘇我氏が必ずしも一方的な「悪者」として描かれていな…
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サクラサク読書案内(4) 岩明均『ヒストリエ』

 『寄生獣』で有名な岩明均が描く『ヒストリエ』では、紀元前4世紀の複雑な古代ギリシャ世界が数奇な運命をたどる主人公エウメネスの目を物の目を通して、非常に興味深く描かれています。  エウメネス自身は実在の人物ですが、前半生は謎に包まれています。『ヒストリエ』では、エウメネスは、カルディア(現在のトルコ)の富裕な家の次男として教養豊かに育…
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サクラサク読書案内(3) 横山光輝『史記』

 司馬遷の『史記』は、歴史書としても、漢文としても価値ある書物です。  これを読めば、五帝の伝説時代から春秋・戦国時代、秦、そして漢の武帝までの古代中史に精通することができます。そこに登場する故事成語は一般教養としてぜひ知っておきたいものがたくさんあります。  横山光輝の『史記』では、まずは司馬遷がこの歴史書を描くに至った経緯が…
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サクラサク読書案内(2) 大和和紀『あさきゆめみし』全13巻

 相棒がまた多忙により四月まで休筆することになりましたので、しばらくサクラサク読書案内のような受験に役立つ漫画の紹介をシリーズでお送りします。  受験に役立つ漫画といえば、その筆頭にあげられるのは、『源氏物語』を題材にした『あさきゆめみし』です。漫画『ドラゴン桜』でも述べられていましたが、古文の文章はそれほど難しい内容が書かれてい…
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サクラサク読書案内 清水茜『はたらく細胞』1~5(続刊)

 今年の受験シーズンはそろそろ終盤を迎える頃です。結果が出た人、結果待ちの人、後期試験に向けもうひとがんばりする人と様々でしょうが、ここでは来年以降の受験を目指している人向きの本を紹介しましょう。センター試験で「基礎生物」を取ろうと考えている人に特にお勧めです。  「基礎生物」では、人体の様々な機能についてたくさん覚えなければなり…
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夏休みの読書案内 佐藤賢一『二人のガスコン』

『二人のガスコン』と言えば、もちろん、ダルタニャンとシラノ・ド・ベルジュラックのことです。二人とも、歴史的人物でありながら、それ以上に、物語のキャラクターとして有名な人物です。 デュマの『ダルタニャン物語』(第一部『三銃士』・第二部『二十年後』・第三部『ブラジュロンヌ子爵』)も、ロスタンの『シラノ・ド・ベルジュラック』も何度も…
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悪魔の読書案内 ミルトン『失楽園』

 ミルトンの『失楽園』といえば、西洋史や文学史には必ずといっていいほど、“17世紀イギリス文学を代表する大長編叙事詩”などと紹介される有名な作品なのですが、実際、これを読んだ人はそんなにいないのではないでしょうか。私も入手しただけで長らく本棚に置きっぱなしにしていたのですが、ふと手に取ってぱらぱらと読み始めると、これが実に面白く、引き込…
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閑話休題の読書案内 大佛次郎『パリ燃ゆ』

 大佛次郎(おさらぎじろう)の『パリ燃ゆ』は、1871年にフランスで起こった史上初めての労働者政府パリ・コミューンの成立とヴェルサイユ軍による血の弾圧を描いたノン・フィクション文学です。作者自身の言葉で言えば「散文で書いた叙事詩」というようなものです。「歴史の専門家でない」と言いながらも、当時の人々の証言や逸話を丹念に拾い上げ、この時代…
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年末の読書案内 沢里尊『魔』

 さて、今年の読書案内の最後を飾るのは、いつも鋭いコメントをしてくださることでこのブログの読者の皆様にもおなじみの沢里尊(さわさとたかし)さんの小説です。  沢里さんの作品は、時代物、現代物、SFとバラエティーに富み、どれもスリルとユーモアに満ち、人を励ますメッセージが込められています。その代表作は、ここで紹介する『魔』という作品…
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年末の読書案内 スタンダール『赤と黒』その3――大西巨人『神聖喜劇』におけるジュリアン・ソレル

 大西巨人の『神聖喜劇』は、1941年1月から4月にかけての対馬の兵営を舞台に、二等兵として新兵教育を受ける東堂太郎を主人公とした小説です。  戦中の日本を舞台とした小説になぜジュリアン・ソレルが関係しているのでしょうか。実はこの東堂太郎という人物はものすごく博識で、驚異的な(ほとんど超能力といってもいいほどの)記憶力を有した青年で、…
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年末の読書案内 スタンダール『赤と黒』その2――映画『赤と黒』(デジタルリマスター版)

 読書案内と言いながら、今回は映画案内です。 映画『赤と黒』公式サイト  スタンダールの『赤と黒』はこれまでたった1回しか映画化されていません。それが1954年に作られたジェラール・フィリップ主演のこの映画です。  今年はジェラール・フィリップ没後50年ということで、『赤と黒』が当時の色彩を蘇らせたデジタルリマスター版となって…
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年末の読書案内 スタンダール『赤と黒』その1

 私が『赤と黒』を初めて読んだ時は、「これぐらいの有名な小説は読んでおかなければならない」といった、いわば義務感で読んでいたので、ジュリアン・ソレルが女を利用するだけの傲慢な男にしか見えず、どうしても感情移入できませんでした。しかもナポレオンを崇拝している? 皇帝となって革命を裏切ったあのナポレオンを? ベートーヴェンが向かっ腹を立てた…
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夏の終わりの読書案内(感想文の宿題に悩んでいる人に) 志賀直哉『清兵衛と瓢箪』

 今年の夏は7月末まで梅雨が明けなかっただけでなく、まだ9月の声を聞いてもいないのにもう秋風が吹き始めました。5月のインフルエンザ休校のせいでまだ8月なのに学校が再開された生徒たちへのせめてもの天の配剤でしょうか?  というわけで、この記事もすでに夏休みが終わってしまっている人には役に立ちませんが、9月1日が新学期という人にとって…
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夏の読書案内 トルストイ『戦争と平和』

 暑い暑い夏です。こんな時こそ、大作に取り組み、おおいに想像力を研ぎ澄ましましょう。とは言ってもトルストイの『戦争と平和』…、多くの人がこの小説に挑んでは導入部で挫折してきたのではないかと思われます。  しかし、この小説の面白さをぜひ多くの人に味わってもらいたい! そんな思いから、ひとつ私流の読み方を提案したいと思います。  そんな…
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春爛漫の読書案内その4 ゴーリキーとシラノ

 ゴーリキーといえばポケモン…、ではなく、ロシア文学者として有名なマクシム・ゴーリキー。  彼は、『私の大学』という自伝的小説で描いているように、放浪しながら様々な職を体験し、大学に通うことなく世間から多くを学びました。そうした体験を経て、24歳の時(1892年)に短編小説『マカール・チュードラ』を発表します。それ以来、彼は文筆活動を…
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春爛漫の読書案内その3 ロスタンの『シラノ・ド・ベルジュラック』

 長らく歴史の舞台から消えていたシラノの作品と生涯を再発掘したのは19世紀前半の諷刺作家シャルル・ノディエでした。  しかしながら、エドモン・ロスタンが1897年に発表した戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』ほど、シラノの名前と巨大な鼻を有名にした作品はなかったでしょう。現在、最も多くの人に知られているシラノはロスタンの「シラノ」なので…
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春爛漫の読書案内その2 シラノ『月と太陽諸国の滑稽譚』太陽の巻

 前著、月世界編に引き続き、その続編として太陽編(『l'Histoire comique contenant les Etats et Empires de la soleille(太陽の諸国と帝国を語る滑稽な物語)』)が1662年に出版されます。  続編では、友人に勧められて『月世界』を書き、それが出版されるや大評判になりま…
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春爛漫の読書案内その1 シラノ『月と太陽諸国の滑稽譚』月の巻

 シラノ・ド・ベルジュラックの著作の日本語訳は、『月と太陽諸国の滑稽譚』(伊藤守男訳)として出ています。この題名はシラノの死後に親友のルブレによって1657年に出版された『l'Histoire comique contenant les Etats et Empires de la lune(月の諸国と帝国を語る滑稽な物語』に基づいたも…
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厳冬の読書案内 小林多喜二とフランス文学

 今『蟹工船』ブームで注目を集めている小林多喜二ですが、実はフランス文学ともたいへん深い関係にありました。  小林多喜二は1903年、秋田の貧しい農村に生まれました。父親は病弱で畑仕事に耐えられなくなり、彼が4歳の頃に、パン工場を経営している伯父を頼って、一家で小樽に移住しました。多喜二の家の経済事情からすれば、とても小学校以上の…
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冬の読書案内『イラク米軍脱走兵、真実の告白』ジョシュア・キー著

 以前、ベトナム戦争に参戦したアレン・ネルソン氏のことを紹介したことがありますが、今回は、今まさに現在進行形で行われているイラク戦争に参戦した元米軍兵士、ジョシュア・キー氏の手記を紹介します。  ジョシュア・キー氏は、オクラホマの貧しい家庭に生まれ育ち、継父が母親を殴るのを目の当たりにし、喧嘩や射撃で気晴らしをする生活を送っていま…
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