地動説列伝(1)フィロラオス

 人間は誰でも自分を中心に考えます。
 自分が立っている大地が宇宙の中心であり、太陽や月や星々はその周りを回っているのだと。実際、それは天体の運行を観測した時の実感にも合っています。太陽や月や星は東の地平線から出現して天空を回り、そして西の地平線へと沈んでいきます。たいていの神話の認識もそのようなものです。

 私たちも、今でこそ地球が太陽の周りを回っていると思っていますが、それは本で読んだり、理科の時間にそう教えられたりしたからであって、自分で観測したわけではありません。したがって、そのことをまだ教えられていない子どもたちは、みな天動説の信奉者です。
 ところが、人間の想像力というのはすごいもので、まだ実地に確かめられていないことであっても、直感的に対象を把握することがあります。
 初めて地動説を唱えたといわれる古代ギリシャの思想家フィロラオス(ピロラウスともいう)は、そんな人物だったようです。

画像 フィロラオス(紀元前470年頃 - 紀元前385年)は、ギリシャ哲学史の中ではソクラテス以前に属する古い時代の人です。
 フィロラオスは、優れた数学者でなければ入れないピタゴラス教団の一員でした。この教団はたいへんな秘密主義で、その教団内のことを他者に漏らすことは禁じられていましたが、ピタゴラスの死後、弟子たちがその内実の一端を明らかにしていきました。「ピタゴラスの定理」は現代の中学生にもおなじみの定理です。

 図はフィロラオスとピタゴラスが音楽用パイプで実験をしているところです。ピタゴラス教団は音楽についても研究熱心で、音楽と数学とが深い関係にあることを明らかにしました。(これは中世に描かれた想像図です。実際はフィロラオスはピタゴラスの死後に生まれているので、こうして一緒に実験をすることはありませんでした。)


 さて、ピタゴラス教団で学んだフィロラオスは、世界の中心には「中心火」という炎があり、その周囲を太陽や地球が回っているという世界観を提唱しました。
 面白いのは、「中心火」を挟んで地球の反対側に「反地球」というものがあると考えたことです。調和を重んじるピタゴラス学派らしい考え方です。

 フィロラオス考え方の直接の継承者はありませんでしたが、プラトンはフィロラオスの著書『自然論』を手に入れ、自分が作った学校の蔵書にしました。プラトンの宇宙論は「イデア」としての太陽が宇宙の中心にあるという考え方で、地球が宇宙の中心ではないという点では地動説に属しています。
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