サクラサク読書案内(3) 横山光輝『史記』

 司馬遷の『史記』は、歴史書としても、漢文としても価値ある書物です。
 これを読めば、五帝の伝説時代から春秋・戦国時代、秦、そして漢の武帝までの古代中史に精通することができます。そこに登場する故事成語は一般教養としてぜひ知っておきたいものがたくさんあります。

 横山光輝の『史記』では、まずは司馬遷がこの歴史書を描くに至った経緯が描かれています。李陵を弁護しただけで理不尽にも死罪を言い渡された司馬遷は、宮刑(去勢)を受けて生き延びます。それはひとえに歴史書を記すことが父親の遺志を受け継ぎ「孝」となると考えたからでした。『史記』には司馬遷のこうした執念がこもっていることがまざまざと示されています。

 この漫画では『史記』のすべてを描いているわけではありませんが、有名どころはしっかりと押さえられています。
 「衣食足りて礼節を知る」は、これは春秋時代の名宰相である管仲の政策から来ています。「屍に鞭打つ」は、父と兄を理不尽に殺された伍子胥の復讐心のなせる技です。「彼を知り己を知れば百戦して危うからず」という情報戦の大切さを説く孫子の言葉は現在にも通じます。
 「臥薪嘗胆」「隗より始めよ」「鶏鳴狗盗」「刎頸の友」「嚢中の錐」「奇貨居くべし」など、様々な故事成語や四字熟語は、参考書などでその言葉と意味だけを覚えるよりも、物語の中で覚えた方が、忘れにくく、はるかに身につきます。『史記』を一通り読めば、自分のボキャブラリーが自然に豊富になっていることでしょう。

 横山光輝は、司馬遷の『史記』をすべて漫画化しているわけではないと書きましたが、『殷周伝説・太公望伝奇』を合わせると、ちょうど漫画『史記』で省略された殷の末期から周の起こりの時代が補われることになります。また、漫画『史記』ではダイジェスト版になっている秦王朝滅亡から漢の始まりが『項羽と劉邦』で、ていねいに描かれています。これら一連の作品を含めると、古代中国を相当知ることができます。

 横山光輝の『三国志』は60巻もある超大作で、内容もたいへん面白いのですが、受験に役に立つかというと、残念ながら…。
 私自身、小中学生の頃、この横山『三国志』を愛読していました。それで高校生になった時に世界史の教科書をわくわくした気持ちで読んでみたところ、三国時代のことがわずか三行しか書いていないのを知ってがっかりした記憶があります。つまり、60巻というボリュームを読破してもそれに見合う受験用の知識を得られるかどうかというコストパフォーマンス(?)の悪さがあります。(あくまでも受験に役立つかどうかという点での評価です。)

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