サクラサク読書案内(14) 水木しげる『コミック昭和史』

 水木しげるといえば妖怪もので有名ですが、戦記漫画もたくさん書いています。自ら従軍した時の悲惨な体験が大勢がベースになっているので、どれもみな迫力と怨念とに満ちています。
 1922年(大正11年)生まれの著者にとって、昭和の始まりはちょうど物心つく頃と一致しています。『コミック昭和史』は、そんな自らの個人史を織り交ぜながら、昭和史の全体像を描いたものです。
 ねずみ男がリポーター役を務めているところが、ユーモラスで読みやすいものになっています。
 庶民の暮らしが生々しく描かれており、親がいやがる子どもをつらい仕事に従事させたり、子どもたち同士で激しい喧嘩をしたりという戦前の殺伐とした時代の雰囲気がよく伝わってきます。
 少年期から青年期にかけてはマイペースで過ごしていた水木しげるも、召集令状が来た後は、否が応でも過酷な状況に直面することになりました。特に、南方戦線に送り込まれてからは、所属する部隊が全滅し、自らも左腕を失います。
 その後、現地の住民と友好的な関係を築き、現地で暮らすことまでも望みますが、再会を約束していったん帰国の途に。
 しかし、戦後の日本は生きていくのに楽な時代ではなく、極貧生活の中でなんとか紙芝居や貸本漫画を描いて糊口をしのぎます。
 高度経済成長の到来と同時に水木しげるの漫画も評判になり、今度は多忙な生活が始まります。
 このように、社会史と個人史が一体となっており、読者は水木しげると共に昭和を生きている感覚になることでしょう。
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