サクラサク読書案内(11) 矢口高雄『奥の細道』

 中央公論社からマンガ日本の古典というシリーズが出ています。

 漫画界の巨匠を集めて日本の著名な古典を漫画に、という構想自体はすばらしいのですが、おそらくページ数の制限により、描きたいことが十分に描けていないものが多いように思いました。『平家物語』なども悪くはないのですが、どうしてもダイジェストになってしまって、漫画としての魅力が乏しい気がします。
 また『古事記』ならこうの史代の『ぼおるぺん古事記』、『源氏物語』なら『あさきゆめみし』という傑作があり、それと比較するとどうしても見劣りがしてしまいます。
 
 しかし、その中でも矢口高雄の『奥の細道』は断然すばらしいものとしてお勧めできます。この作品では『奥の細道』全編ではなく、みちのくの旅のところを中心に描いています。東北出身の著者にとってはまさに真骨頂と言える場面です。
 それだけではありません。矢口高雄自身がまさに俳人でもあるのです。(私はこの漫画を読むまでは、そのことを知りませんでした。)俳句を詠む者にとっては芭蕉はまさに偉大なる先人です。その芭蕉に対するあこがれ、愛着、様々な感情が込められ、その表情の一つ一つに魂が込められているように感じました。
 芭蕉の前半生はもとより、旅の途中での連歌の場面をていねいに描いている所などもたいへん勉強になります。
 

奥の細道―マンガ日本の古典 (25) 中公文庫
中央公論新社
矢口 高雄

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 このシリーズでは、花村えい子の『落窪物語』もお勧めです。なんといっても絵が美しく、ストーリーとよくマッチしています。(シリーズのすべてに目を通したわけではないので、他にすばらしい作品があるかもしれません。)

落窪物語―マンガ日本の古典 (2) 中公文庫
中央公論新社
花村 えい子

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 『古事記』を漫画にしたものは、どうしても作者の独自解釈を付け加えてしまうものですが、この作品の文章は原文(書き下し文)そのままです。その分、絵には作者の主張が込められており、面白いものになっています。

ぼおるぺん古事記 全3巻セット

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