サクラサク読書案内(9) みなもと太郎『風雲児たち』

 至る所にギャグが散りばめられているのですが、実のところ、いたってまじめな歴史漫画です。
 冒頭は坂本龍馬ら「風雲児たち」が、長い鎖国の時代を打ち破って大活躍をする…、と思わせておいて、いきなり「話は四百年前にさかのぼる」と、関ヶ原の戦いの場面となります。幕末という時代を理解するにのに、なぜ関ヶ原にまで遡らなければならないのか。それは、関ヶ原の戦いで西軍に参加して敗北した武将たちが、それぞれ薩摩、長州、土佐を拠点とすることになるからです。これらの藩が明治維新に大きな役割を果たすことになるその発端が関ヶ原の敗北なのでした。
 このような壮大な構想の下に書かれた『風雲児たち』は20巻をかけて江戸時代をていねいに描きます。
 不遇の幼少期を経て幕府の大老となり最後に会津藩主となる保科正之の善政、蘭学を求める前野良沢と杉田玄白の涙ぐましい苦労、近代的経済感覚を持つ田沼意次、漂流の末ロシアにまでたどり着いた大黒屋光太夫、腐敗した幕府に対して反乱を起こした大塩平八郎…、それぞれに印象的な物語が展開されます。
 一方、テレビドラマで人気のある水戸光圀や徳川吉宗に対しては辛口の評価がなされています。
天皇家に対する評価も面白いものです。
 武士が台頭してきた時代、天皇が生きのびる唯一の手段は「強いものにつくということであった」「執権とか征夷大将軍とか関白太政大臣とかよくわからない名称を天皇の名のもとに次々とその時代その時代の実力者に与え」「ここに天皇家は身分証明書発行所として戦国の世を生きつづけてきたのであった」とあります。
 なるほどな~と思いました。このあとの叙述では家康がむかつきながらも天皇の前に跪く形を取らねばならないという場面が描かれています。おそらく、これは幕末の事情にもつながるのでしょう。
 『風雲児たち』は20巻目の最後でようやく18歳の坂本龍馬が登場するところで終わります。ここからさらに『風雲児たち 幕末編』に続くのですが、まだ雑誌に連載中で、今のところ30巻まで出版されています。(こちらは大学受験という観点からは詳しすぎると思われます。)



ちなみにSPコミックの表紙は中身の絵と全然違います。
↓こちらがみなもと太郎の絵柄です。

風雲児たち~蘭学革命篇~ (SPコミックス)
リイド社
2017-12-11
みなもと太郎

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 風雲児たち~蘭学革命篇~ (SPコミックス) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル






風雲児たち 幕末編 30 (SPコミックス)
リイド社
みなもと太郎

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 風雲児たち 幕末編 30 (SPコミックス) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック