イギリス革命(30) 真正水平派(ディガーズ)のその後

 イギリス革命(23) 真正水平派の登場もご覧ください。

 真正水平派(ディガーズ)は、エンクロージャーによって土地を追われた農民の立場に立ち、水平派すら提起しなかった経済的平等という観点を強く持っていました。
 しかし、彼らは水平派よりもさらに小さな組織で、その運動の広がりもまだこれからというところで弾圧されてしまいました。その中心人物、ジェラード・ウィンスタンリのことはその後長らく忘れ去られており、大英博物館に収められていた彼の著作『自由の法』が再び日の目を見たのは1895年のことでした。

画像 ところで、ウィンスタンリについては、初期の研究においては、彼の最後の著作が1652年に発表された後、消息が知れなかったということで、その年に死亡したと考えられていました。この漫画はその説に従ってストーリーが作られたわけですが、実は新しい研究では、ウィンスタンリがその後も生きていたことがわかってきました。(亡くなったのは1676年だそうです。)
 しかし、今からそれを訂正するわけにもいかないので、この漫画はあくまでもフィクションであるということをあらためて申し上げておきます。

 ディガーズの提起した問題は、20世紀に生存権として憲法に盛り込まれ始めました。日本国憲法の第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」もその流れにあります。
 また、今日のラテンアメリカでは「土地なし農民運動」というディガーズの運動に酷似した運動が起こっています。土地を持たない人々が、放置されている大地主の所有地に入り込み、そこで農業活動を展開するというものです。
 ディガーズのことを知って、それを参考にしたのか、それともたまたま一致したのかは、私自身まだ突き止められていません。しかし同じ状況の下では同じ考え方・同じ発想が出てきても不思議ではありません。
 こうして、ディガーズの思想もまた、今日に生き続けています。

 日本国憲法の97条には「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」とあります。
 自由のための苦難の歴史、そして基本的人権が現在と未来の人類への過去からの大切な贈り物であることが、この短い文章の中にぎゅっと圧縮されて述べられています。その苦難の歴史の中には17世紀のイギリス革命における水平派やディガーズの人々の活動も確実に入っています。

 イギリスは現在もEU離脱を決定するなど、全世界に大きな影響を与え続けている国ですが、このブログのイギリス革命シリーズはこれにて終了します。

補遺 以前、イギリス革命の時期の思想家・詩人ミルトンの著書『失楽園』についての紹介を書いたことがあります。他の思想家についてもいずれあらためてその著書を紹介するかもしれません。

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