第三部 人気投票発表

 皆様、二ヶ月もお待たせしましたが、ようやく結果発表です。 
 『陽気な日曜日』第三部登場人物の人気投票に参加していただいたアッキーさん、hitomiさん、奄美の黒兎さん、クロさん、沢里尊さん、ヒッピーさん、表裏さん、たいへんありがとうございました。相棒のきむらのほうしも読者の皆様に混じって投票していますが、小説に関してはこれも読者の票として扱っておきましょう。
 今回の人気投票には総勢二十人に票が入りました。(第一部では十二人、第二部では十四人でした。)自分が生み出した登場人物はそれぞれに愛着があるので、こうして数多くの人物に注目してくださるのは、作者としてとてもうれしいものです。

 さて、第一位は、9.5票を集めたポワーヴル君です。この9.5票というのは、これまで行った人気投票中で最高の票数となりました。第三部では彼の人気が出るとは思っていたのですが、ここまでダントツの一位に輝くとは予想しておりませんでした。

 第二位は、4.5票のアルです。アドルフにラテン語で議論して勝つという厳しい条件を突きつけられてしまったアル。貴族のように自由な時間がいくらでもあるといった環境ではなく、様々な邪魔も入り、途中でくじけそうになりながらも、苦闘の末、ついにその条件を成就させました。そのがんばりは多くの人の認めるところでしょう。(しかし、作者は彼にまだまだ試練を課しています。むしろこれからが試練の本番かもしれません。)

 第三位はガブとマクシミリアンです。
 ガブは第三部では特にこれといった活躍もしていないのに、この根強い人気! 第四部ではもう少しは活躍するかもしれません。
 マクシミリアンがこれほど上位に入るとは、これも予想外でした。彼は第四部でこそ活躍する人物なのですが、すでにこれほどの人気を集めています。ご期待に添えるようがんばりたいと思います。

 さて、第一部と第二部で一位だったシャルロットは今回は3票で、残念ながら五位に転落。とはいっても、第三部での彼女の出番は極端に少なく、アルの思い出や夢に登場した分をのぞくと、第三六話にちらっと登場しただけでした。それなのに、これだけの票を集めるとは、最初からのヒロインの力は実に大きいですね。

 第六位は2.5票を集めた我らが主人公ディマンシュ。私は実のところ、彼はこの第三部では1票も入らないんじゃないかと思っていましたが、やはり主人公の底力を見せてくれました。ようやくフランスに戻ってきたので、第四部では、もう少し出番が多くなるはずです。

 第七位は1.5票ずつで、リヴェール神父、レフォール師、ガトー師と、不思議なことに聖職者が三人並びました。
 このうちガトー師はご自分の役割を果たし終えておりますし、レフォール師も平和なジュネーヴにいる限り、これから特に活躍の場はないかもしれません。
 しかし、何ごとかが起こることを予感しているリヴェール神父。彼の感じている通りのことが起こるのはほぼ間違いがないでしょう。その中で彼はいかなる行動をとるのでしょうか。

 第十位は1票ずつで、ヴィオレット、アドルフ、アントワーヌ、マリエット、マルト、カトリーヌ、ロランの七人が並びました。男の登場人物の多いこの小説で、マリエット、マルト、カトリーヌと、若い娘さんが三人も並びました。
 マルトとカトリーヌは実在の人物で、マルトがロランのお相手というのも史実通りです。キャラクター作りにあたっては新約聖書のマルタとマリアをイメージしました。一方、名前も年齢も全くわからないけれど実在したことだけはわかっている女性に血肉をつけてみたのがマリエットです。この三人のうち誰が第四部のヒロインたる地位を占めることになるのでしょうか。それともやはりガブやシャルロットの人気の前にはかすんでしまうのでしょうか。
 ヴィオレットは何かをかなり期待されているようですが、彼もまた実在の人物ですので、史実通りの行動しかとりません。(案外、平凡な役割しか果たさないのか、それとも、事実は小説より奇なりなのか。)
 アドルフは第一部から出ているのに、なかなか人気が上がりませんね。第四部ではいいところを見せるのでしょうか。(こちらはたぶん望み薄ですね。)
 第四部でのアントワーヌは、単なる可愛い赤ちゃんではなくなり、子どもながらに自分自身の意志を持って行動するようになります。はたしてこれは吉と出るか凶と出るか。

 0.5票ずつ入って十七位になったのが、ジャン・マシップ、ジャン・カヴァリエ、マゼル、ラポルトの四人でした。この四人については第四部で非常に大きな役割を果たすことになるとだけ申し上げておきましょう。

「さて、今回お呼びするのは、第一位を獲得したポワーヴルさんです。どうぞ!」

「え~。ぼくはもう天国に行った身なんですけど、こんなところに出てきてしまっていいんですか?」

「いやもう、そこは特例ということで。本文ではもう登場しないけれど、この場であなたに会えるのを楽しみにしてる人もいるんですから。」

「いや、参ったなあ。これもみな読者のみなさんのおかげです。ぼくのこと『ポワーヴル師』って呼んでくださった方もいたりして…、なんだかすごく偉くなったように見えますね。実に身に余る光栄です。」

「第七位の聖職者三人組を呼ぼうという案もあったんですけど、険悪な雰囲気になりそうだからやめておいたんですよ。」

「それは賢明な判断だと思いますよ。ガトー師はともかく、レフォール師なんか『カトリックの神父と同席できるか!』って、激怒するんじゃないですか。」

「そうでしょうね。そして、リヴェール神父は冷笑的な表情を浮かべながら無言の行に徹し、ガトー師は居眠りしてしまい…。」

「どうも、あまり楽しいつどいにはならないようですね。」

「ね。あなたに来てもらう方が断然いいでしょう。」

「それにしても、どうしてぼくなんかがこんなに人気が出たんですか。殉教したからでしょうかね。死ぬと人気が出るというのも、なんだかなあ…という気がしますが。」

「死ぬことを奨励しているわけじゃないんですよね。」

「そうですよ。だから、ブライユ君がぼくのように死ぬわけにはいかないと述べたのは実にもっともなことですよ。あんな言い方をしてしまうところは、良かれ悪しかれ彼らしいとは思いますけどね。そうそう、みなさん――ジュネーヴの人たちは特に――誤解していると思いますけど、厳密に言えば、ぼくは殉教したわけではないんですよ。」

「でも、ジュネーヴの説教者として火あぶりになったじゃないですか。これを殉教と言わずして何を殉教と言うんです?」

「思い出してくださいよ。ぼくがわざわざ捕まりに行ったのは、彼女を助け出すためだったんですよ。そんな個人的な動機で自分の命を投げ出すなんて、説教者としてどうなんです?」

「じゃあ、あのシェーラ司祭が『あの娘に惚れているからであろう』と言ったのは図星だったんですか。」

「図星だったからこそ、むかつきましたけどね。」

「でも、一人の少女を助け出すために自分の命を投げ出すというのもキリスト教として正しいあり方じゃないんですか。だって迷子になった一匹の子羊を探すために、九十九匹の羊を置きっぱなしにするんですから。」

「そういえば、セヴェンヌに来て最初のぼくの説教もその話で締めくくりましたっけ。」

「その時からあなたの運命は決まっていたんですよ。」

「もっと以前から決まっていたんでしょ。ブライユ君との別れの場面は、いかにもこれでもう会えないという感じに満ちていたじゃないですか。」

「そうでしたね。ところで、彼に剣を預けたのはどういう意味があったんです?」

「いや、単に彼なら大切にしてくれそうな気がしただけで、特にそれ以上の意味はありませんよ。」

「そうですか。自分が死んだらこれを活用してほしいということではなかったんですか。」

「ぼくはもう地上の事柄に関しては見守るだけの存在になってしまいましたからね。彼がぼくの遺品にどんな解釈をしようが、どのように使おうが、ぼくの関知するところではありません。ただ、剣を使うといえば、その使い道はひとつしかないでしょう。」

「でも、彼はさっそく老婆の杖代わりに使っていましたよ。」

「えっ、あの先祖伝来の剣を?」

「布をまいて剣に見えないようにしていましたけどね。ポワーヴルさん、あなたはやっぱり剣は剣として使ってほしいんじゃないんですか。」

「いや、さっきも言ったように、地上のことにはもう関知しないことにしていますから。」

「マリエットのことも特に未練がないと。」

「そうですね。ぼくがこうなった以上、彼女には新しい恋を見つけて幸せになってほしいと願うばかりですよ。」

「まあ、そういうことにしておきましょう。でも、彼女はあなたのことを忘れそうにないですよ。」

「そんなことはないでしょう。歳月は人を変えるものです。」

「さて、お話はこれぐらいにして、今後の予告と行きましょう。明日、四月一日からは、漫画『ガスコーニュのつわものたち』の第三部『忠臣、商人、そして詩人』を連載します。
時代はリシュリュー枢機卿の時代からマザランの時代へと移り変わっていきます。フランス国内だけでなく、国際的な動きもちらっと出てきます。その中で世界を視野に入れて動く人々も登場し始めます。さて、どのような物語になるのでしょう。」

「小説はどうなるんです。あの続きを楽しみにしている人もいるので、早く始めた方がいいと思うんですけれど…。」

「小説は、『第三十七話 ポン・ド・モンヴェール』を六月一日から掲載する予定です。この話は七月の話なので、本当は七月に再開しようかと思っていたんですけれど、そういう声があるみたいなので、一ヶ月早めることにしました。」

「ポン・ド・モンヴェールか…。ぼくにとっても因縁のあるところですね。きっとシェーラ司祭がまた登場するんでしょうね。」

「まあ、史実通りに展開することになるでしょうね。今はそれだけしか言えませんが…。」

 というところで、読者の皆様、今後とも漫画も小説も両方よろしくお願いいたします。

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この記事へのコメント

沢里尊
2009年04月03日 19:10
ポワーブル。
今回は彼が主役だから。殉教したからとか、そういうことはあまり関係ないと思います。
年の離れた恋人に、本気で優しく接し、最後は命を懸けた。この情熱は心を打たれます。
『宇宙戦艦ヤマト』でも、地球の運命よりも、恋人ゆきの命のほうが重いという場面がありました。そういうセリフはないけど、ゴダイ君の心情は十分伝わってきた。
地球のために命を捨てるよりも、恋人のため、愛のためというほうが、共感は得られますね。
今回はアルとポワーブルの一騎打ちでしょう。最後ポワーブルが競り勝ったのは、もしかしたら、アルの教師はポワーブルだったから。そんな気もします。
2009年04月04日 10:28
沢里さん、人が自分の命を犠牲にできるのはいったいどんな時なのでしょうか。理性的に○○が正しいからというよりも、……を愛しているから、という方がありそうな気がします。彼の行動はそういう指針に従って描いてみました。こうした描き方が多くの人の共感を得られたのは、とてもうれしいことです。
そういえば、今回はポワーヴルがアルの教師役も務めましたね。(いつもならディマンシュがこの役目でしたが。)いいとこ取りのポワーヴル君でしたが、死なせてしまってごめんね。

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