第17話 一筋の光-1

これまでのあらすじ
 1685年、フランスの絶対君主ルイ十四世は、信教の自由を定めたナントの勅令を廃止し、カトリック以外の宗教を禁じた。これまで共存していたユグノー(プロテスタント)とカトリックの人々との間には、深い対立が生じることになった。
 カトリックの貴族の少女シャルロットはユグノーの青年ディマンシュに恋をしていたが、彼女の求愛はきっぱりと断られてしまう。一方、彼の従弟の少年アルがシャルロットに恋をしていたのではあるが、彼女はそのことには気がついていなかった。
 ディマンシュとの別離から三年が経過する。その間に、シャルロットの兄アドルフの紹介で、ダンドリオン伯爵と知り合うが、この伯爵のことも他の貴族の青年もどうしても好きになれないシャルロットの前に、初恋の人の姿を偲ばせる若者が姿を表す。彼女は同行した伯爵が吟遊詩人たちの手管にかかっている間に、その若者を求めて逃げ出す。
 彼女の兄アドルフが、行方不明になった彼女を探しにやってきて広場にいた吟遊詩人を問いつめるが、徒労を重ねる。
 一方、荷車を引いていた若者は…。

 読者の皆様にはもうすでにおわかりのこととは思うが、荷車を引いていた若者は十五歳のアルであった。セヴェンヌの村から都会に作物を売りに来ていたアルは、この日、持ってきた荷を全部売り切ったのに気をよくし、広場での吟遊詩人の演奏にしばし足を止めていた。豊満な肉体をもった歌姫が薔薇の花を投げようとした時、アルにも期待する気持ちがなかったといえばうそになる。
 結局、花はアルの居るところから遠く隔たったところに落ちた。その「幸運」を手にした人物をうらやましく思いながら、アルはその場から立ち去ろうとした。ところがその時、かすかに若い女性の声が聞こえた。はじめはそれが自分に向けられたものだという考えは浮かばなかった。しかし、その声はもう一度はっきりと繰り返され、しかも聞き覚えのある声であった。
「お願い、待って!」
 アルは思わず振り向いた。

(広場のある都市はアレス(Ales)をイメージ。その都市の西側がセヴェンヌの山々。)

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この記事へのコメント

2007年05月01日 17:16
アルだったとは、知らなかった! 愛する人と再会できたとは、アルの気持ちがわかる。片思いのほうが、両思いよりも情熱は凄いから。手に入れたくても手にできない。その段階は、地球の運行をも止めてしまいそうな勢いがある。アルを応援しよう。
2007年05月02日 10:39
沢里さん、成長したアルなんですよ! 今度こそアルはシャルロットの心を射止められるのか。見所満載の第十七話をお楽しみください。

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