第11話 その時はいつ来るか――1

 これまでのあらすじ(第1話~第10話のまとめ)
 時は17世紀末。1685年以来カトリック以外の宗教を禁じられたフランスであったが、ユグノー(カルヴァン派のプロテスタント)の中には、密かに自分たちの信仰を守り通そうとしていた者もいた。そんなユグノーの青年の一人ディマンシュは、母親が簡単にカトリックに改宗してしまったことに反発し、ボルドーの家を出て、あくまで非改宗を貫いた伯父オーギュストのところへ向かう。しかし、オーギュストはすでに亡き人となっていた。
 しかし、ディマンシュは、オーギュストの妻ガブリエル(ガブ)とその息子アルベール(アル)に暖かく家族として迎えられ、セヴェンヌの地で暮らすようになる。
 オーギュストは、生前、清教徒革命時代のイギリスで、最も虐げられた下層の人々の立場から自由と平等を求める「ディガーズ」の組織員であったという過去を持っていた。そのディガーズの指導者の著書『自由の法』のことを聞いて、ディマンシュはなんとかして、それを手に入れたいと考える。
 彼は修道士に変装して、外国の珍しい蔵書があると聞いたカトリックの教会にアルと共に忍び込む。目的の本は見つからなかったが、そこで二人は、カトリックの貴族の少女シャルロットと出会う。シャルロットはディマンシュに恋をし、そしてアルはシャルロットに恋をする。
 シャルロットは、やがてディマンシュがユグノーであるということを知ってしまい、衝撃を受けるが、彼女の恋心から来る大胆な行動は、彼らとの交流に道を開くものとなった。
 

 セヴェンヌは春から初夏に移ろうとしていた。セヴェンヌの夏は雨が少ない。抜けるような青空の広がる日々が何日も続くことがあった。南仏の太陽光線は頭上から容赦なく照りつけてくるが、乾いた空気は軽くさわやかな風となって、汗ばんだ身体に心地よく当たるのであった。散策や山歩きには絶好の気候であった。
 シャルロットは少しずつ家の本や教会の本を持ち出してきては、足繁くガブリエルの家に通った。畑仕事を手伝おうとしたこともあったが、ディマンシュに手を出すことを一切禁じられていた。ガブリエルやアルとは親密度をいっそう増していったが、ディマンシュとは相変わらず疎遠な状態が続いていた。しかし、彼女が持ってきた本をディマンシュが読んでいるらしいことはわかっていた。彼女は取りあえずそのことで満足するほかなかった。画像

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