第4話 モリエール的喜劇―1

これまでのあらすじ
 ボルドーの酒屋の跡継ぎになることを拒絶して、セヴェンヌの山村にやってきた青年ディマンシュは、亡くなった伯父オーギュストの妻ガブリエルとその息子アルとともに暮らすことになった。
 ある日、ディマンシュとアルは、村の長老リュックじいさんから孫娘の結婚祝いの買い物を頼まれて、定期市が開かれている隣村まで出かけた。定期市では、化粧品屋の店主に女装させられたり、占い師と口論をするはめになるなど、いくつかの思いがけない事態に遭遇するが、なんとか無事に買い物を済ませ、リュックの孫娘ジャンヌにも口紅を結婚祝いに渡すことができた。
 ディマンシュは自分と二人の新しい服を作るつもりで、布地を大量に買ってきていた。しかし、ガブリエルは彼がなにやらやましい気持ちを持っているように感じ、腹立ち紛れに彼を叩きのめそうとした。

 ガブリエルの攻撃は空を切っただけであったが、ディマンシュはみごとにひっくり返った。アルがまき散らしたガラス玉が、まだ床に残っており、彼はよけたはずみにそれを踏んでしまったのだった。誰もが、彼が何事もなかったかのようにすっくと立ち上がることを予想していた。

 しかし、ディマンシュは足をかかえこんだまま動かなかった。いつも憎らしいほど落ち着き払っている青年が、顔をしかめて脂汗を流しながら痛みに耐えているのを見たとき、ガブリエルは叫んだ。

「たいへんだ! 医者だ、医者を呼ぶんだよ!」

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この記事へのコメント

2006年02月19日 23:17
ディマンシュは大丈夫でしょうか。いつもは冷静沈着な彼でも、こんなハプニングがあるんですね。医者を呼ぶとなれば、また新たな登場人物が?次なる展開に、早くページをめくりたい心境です。
2006年02月20日 21:00
この近辺のお医者さんと言えば“あの人”だけなのです。若い頃はいい腕の医者だったのですが…。

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