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マゼルのこぶしはうなりを上げながら相手の顔面に向かって行った。しかし、マゼル渾身の一撃はあえなくかわされて空を切り、その代わりに逆に相手の一撃をまともに顔面にくらってしまった。 「ぐあっ!」 マゼルは思わず手で顔面を押さえたが、その手のひらから血が滴りおちた。それを見てジャンは悲鳴を上げてその場にへたり込み、アルはマゼルのそばに駆け寄った。 「マゼル、大丈夫か?」 「ああ…、心配いらねえ…。こりゃただの鼻血だ…。」 そうは言うものの、マゼルはひどく苦しげであった。マゼルの顔面に当ったのは相手のこぶしではなく掌(てのひら)であった。もしもこぶしであったなら、鼻血が出る程度では治まらなかったであろう。それは相手の慈悲なのか、それとも余裕の現われなのか、その場にいるものには区別が付かなかった。 アルは大男をにらみつけた。 「どこのだれだか知らないが、何だっておれの大切な仲間をさらし者にしたり殴ったりするんだ。」 「おまえもこの連中の仲間か。」 「もちろんだ。」 アルは毅然としてそう言った。 |
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