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貴族というものは労働をしないことになっていたが、セヴェンヌに住む小貴族の中には所領からの地代だけでは暮らしていけずに、半ば自作農と化している者もあった。バヴィル知事はそんな貴族を「百姓貴族」と呼んで軽蔑し、社交界の場に呼ぶことは決してなかった。したがって、マルト・ド・コルネリーに、彼女の父親が望むような縁談が来る可能性はほとんどなかった。 「いっそ、ジュネーヴに移住なさいますか。あちらなら、マルトのように気立ての優しい家事にたけた娘は引く手あまたですわ。詩編歌を歌うのにこそこそと隠れる必要もありませんし、立派な牧師様の説教も日曜日ごとに聞けるというものですわ。」 「しかし…。」 コルネリー氏は自分が手入れするようになってから、自分の果樹園への愛着がいっそう強くなっていたのである。 「あなたがこの土地を離れられなければ、わたしと娘たちだけでも…。」 「そんなこと、まさか本気で言っておるのではないだろうな。家族が離れ離れになることなど、わしは絶対賛成せんぞ。」 |
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