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国王の兵士に殺害された公証人のアンドレ氏の悲劇についてはコルネリー氏もよく知っていた。アンドレ氏の運命は明日の自分の運命かもしれないと、セヴェンヌの人々で考えない者はいなかった。しかもコルネリー氏はアンドレ氏と旧知の仲であり、互いの屋敷によく出入りをしていた。先ほどのコルネリー夫妻の間で名前の出たサルガ男爵も、このアンドレ氏を介した交友関係の一人であった。したがって、アンドレ氏の屋敷での礼拝の常連であったセギエとコルネリー氏が互いに旧知の間柄であったのは当然であった。 「ピエール、あれから、どこでどんな暮らしをしていたのだね。」 「コルネリー殿、わしのことは今は『エスプリ』と呼んでいただきたく存じます。」 「わかった、エスプリ…。」 コルネリー氏はそうした質問をしたことを後悔した。エスプリ・セギエのひどく老けた容貌とみすぼらしい身なりを見たら、人に言えない苦労をしてきたことは明らかであった。 読者も知っての通り、セギエは放浪と物乞いの生活をしていたが、その後、アルがシャルロットと会っていた救貧院でしばらくの間暮らしていた。しかし、その院長が病死し、収容者の間にも死者が相次いだことから、その救貧院は閉鎖されてしまった。残った者は別の救貧院に搬送されたが、セギエはそのどさくさにまぎれて再び放浪生活へと戻ったのであった。 |
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