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第17話まで読んでいただきましたみなさま、ありがとうございます。次は「第18話 クリストフ」です。このクリストフとはいったい何者でしょうか? 二人の運命の鍵を握る者であることだけは確かです。 「ところで、今回の話はR18指定にしておいた方がよくなかったかね。」 「内容からするとそうかもしれませんが、表現上は何の問題もありませんよ。これがだめなら、古典作品のほとんどは発禁処分でしょう。なにしろ、なんでもないような表現の中に、生々しい男女関係が描かれているということが多々ありますからね。」 「ふむ。では具体例を挙げてみたまえ。」 「じゃあ、西洋の話ばかりでもなんですので、ひとつ『古事記』から例を出してみましょう。」 「ははあ、もしかして、『吾が身は、成り成りて成り余れる処一処在り。故、此の吾が身の成り余れる処を以て、汝が身の成り合はぬ処を刺し塞ぎて…』というイザナギ、イザナミのまぐわいの説明を引用しようとしているのだな。」 「ああ、それねえ。それって、なんだか生物か保健の教科書みたいですよね。でも、“まぐわい”という言葉にはとても萌えますね。これは、目と目を合わせるという意味と身体を合わせるという意味の両方があるわけで、つまり、男女が互いの目を見つめあうというと、そこから恋が生まれ、身体の関係に至るという、恋愛の初めから成就にいたる全過程をその一言で表現しているわけです。」 「『古事記』からの例証とは“まぐわい”の一言だけかね。」 「いえいえ、その“まぐわい”の実証として、『古事記』の中で最初に登場する相聞歌(そうもんか)を紹介したいと思います。まず、大和の乙女、伊須気余利比売(いすけよりひめ)が、九州からやってきた男、大久米命(おおくめのみこと)に会って、このように歌います。」 あめつつ ちどり ましとと などさけるとめ 「『ましとと』までは鳥の名前で、後半は、どうしてそんなに入れ墨の入った鋭い目をしているのかしら、という意味です。これを鳥を見ながら歌っては、やはり生物の教科書か野鳥の会の自然観察会になってしまいます。ここは、相手の目をじっと見ながら歌っているのです。すると、大久米命は次のように歌います。 をとめに ただにあはむと わがさけるとめ 「こちらは単純明快ですね。娘さんに直接会いたくて 私の目は入れ墨の入った(あるいは大きく裂けた)鋭い目をしているのです、という意味です。二人が見つめ合っている情景が浮かんできますね。まさに“まぐわい”の最初の場面です。」 「だが、大久米命は、そもそも神倭伊波礼毘古命(かむやまといわれびこのみこと)の求婚の使者として、彼女のもとにやってきたのではないのか。」 「そうなんですよ。イワレビコはなんだって、自分のプロポーズに部下を使うんでしょうね。どうも『古事記』では、求婚のために別の男を派遣すると、たいてい、その男と娘とが深い仲になってしまうという法則があるようですが、イスケヨリヒメの場合は大久米命とではなく、イワレビコの妻となりました。だからこの“まぐわい”は成就に至らなかったのです。」 「それなのに、大久米命との相聞歌をわざわざ掲載しているのだな。」 「ええ、二人の結婚後は、イワレビコの『あしはらの しけしきこやに すがたたみ いやさやしきて わがふたりねし(葦原の汚い小屋にむしろをすがすがしく敷いて二人で寝たよね)』という歌のみが記録されており、お互いに歌を交し合う相聞歌という形では記録されていないのです。」 「ふうむ。見知らぬ男に自分から歌いかけるほど好奇心いっぱいの積極的な女性なのに、夫のための歌を歌っていないとは…。」 「まあ、それ以上は憶測になりますから…。というわけで、これにならって、私の小説でも、若い二人が目と目を見交わす場面を効果的に使っております。」 「話がどこまで飛んでいくのかと思っておったが、ようやくもどってきたようだな。」 17話に関する覚書 新編日本古典文学全集 (1) 古事記
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これぞ文章のチラリズム。目はいいですね。佐久間のチャームポイントもその大きな瞳です。 |
アッキー 2007/05/31 20:57 |
すずな監督が描いた官能的な場面は、本当に印象的でしたね。振り返れば、今までもそういうシーンは何回か出てきて、刺激がありました。 |
沢里尊 2007/05/31 23:30 |
アッキーさん、佐久間さんも目がチャームポイントですか。私も若い頃は二重まぶたの大きな瞳で多くの男性を悩殺してきたものです。(この記述、信用度ゼロ) |
すずな 2007/06/01 07:23 |
沢里さん、ありがとうございます。これからもさりげなく刺激的な場面を入れて行きたいと思っております。(特に夢の場面は、なんでもありなので…。) |
すずな 2007/06/01 07:27 |
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