|
第15話まで読んでいただきまして、皆様ありがとうございます。次は「第16話 重荷」です。もちろん、読者の皆様には、第15話の終わりで書いた「もう一人の人物」というのがシャルロットのことであるというのはすでにおわかりですね。 というわけで、今回の対話は、この物語そのものとは関係のないテーマで語り合いたいと思います。 「何が『というわけで』なのか意味不明だが、いったいどんなテーマで語り合おうというのかね。」 「はい、様々な文学作品の中で、人格Aと人格Bが同一人物であるという例にはどのようなものがあるかということについてです。まず、代表的な例はといえばジキル博士とハイド氏ですね。善良なジキル博士は薬を飲むと悪人ハイド氏に変身してしまいます。この場合、ジキル博士はハイド氏になった時も、ジキル博士としての記憶は残っており、ハイド氏からジキル博士に戻った時も、ハイド氏として自分が何をしたのかを全部記憶しているんですね。だからこの物語は悲劇的な結末を迎えるわけですが…。」 「ふむ。二重人格者といえば、AとBとはそれぞれ別々の記憶と人格を持つというイメージがあるが、ジキル博士の場合はそうではないのだな。」 「そうですね。次はAのみが自分がBであることを認識しており、Bは自分がAであるとは認識していないという例を挙げてみましょう。それはアロンソ・キハーノとドン・キホーテです。善良なキハーノ旦那は騎士物語を読みすぎて、ある日とうとうドン・キホーテと名乗って騎士としての遍歴の旅に出てしまいます。ドン・キホーテは自分がキハーノなる人物だったとは全く認めませんが、死ぬ前になって意識がキハーノに戻った時には、自分がドン・キホーテとして行なったことを記憶しているのです。」 「可笑しくも物悲しい話だな。」 「ええ、私としては、ずっとドン・キホーテのままでいてほしかったですけれど…。このドン・キホーテの場合、AとBが同一人物であることは本人以外の人々にとってはわかっていますが、本人ドン・キホーテだけはわかっていません。その反対に、AとBが同一人物であることは本人(時にはごく親しい仲間)のみが認識しているという例もあります。この場合、内面的にはAとBとは同一人格なのですが、外面的には全く別人格であるかのように振舞います。例えば、ドン・ディエゴと怪傑ゾロです。ドン・ディエゴはぐうたらで弱虫の情けないお坊ちゃんですが、怪傑ゾロは強きを挫き弱きを助ける正義のヒーローです。」 「うむ。過去の自分の正体を知られたくない人物もよく使うな。ジャン・バルジャンとマドレーヌ市長とか、ジャック・コランとヴォートランとか、エドモン・ダンテスとモンテクリスト伯爵とか…。」 「ベルナール・シャトレと黒い騎士とか、夜神月(やがみライト)とキラとか…。」 「待ちたまえ。それは文学作品なのかね。」 「えっ、違いましたっけ。ではそれはこれぐらいにして、この応用ともいえる例を紹介しましょう。アルセーヌ・ルパンとデジレ・ボードリュです。」 「それは上の例と同じなのではないかね。」 「いいえ。ルパンとルイ・バルメラなら上と同じですけれど、デジレの場合は、実際にルパンとは別人として存在しているという点が違います。ルパンはある時たまたま自分となんとなく背格好が似ているアル中の浮浪者デジレを発見し、彼に成りすますことにしたのです。つまり、最初はAとBは全く別人であったのが、特定の条件の下で同一人物にもなるという例です。」 「では、トムとエドワード王子もそうであろう。」 「その通りです。他には、影丸と影一族とか…。」 「また、文学作品から、はずれておる。」 *上の会話に登場する作品の題名をあげてみてください。あなたの書店業界への貢献度がわかる!? 4以下…もっと本屋に足を運んで、たくさんの小説や漫画を読みましょう。 5〜8…読書傾向に偏りがありますね。小説は芸術だが漫画は低俗だと思っているとか、漫画は好きだけれど小説は敬遠しているとかいうことはありませんか? これまで手を出さなかった分野に挑戦してみましょう。 9〜11…漫画にも小説にも詳しいあなた。これからもこの調子でどしどし書店業界に貢献しましょう。 12…すずなのレベルなど底が知れてるというあなた。もしかしてあなたの生活費の大半は本代に? 第15話に関する覚書 |
| << 前記事(2007/03/29) | トップへ | 後記事(2007/03/31)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
リング上ではチェーンで相手の首をグルグル巻きにして引きずる。しかしリングを下りると、きさくな紳士になり、記者やファンとも友好的に接し、専門誌から執筆を依頼されればスラスラと名文を綴るプロレスラー、ブルーザー・ブロディ。ブロディは酒場の用心棒出身であり、元新聞記者です。「ブロディはジギルかハイドか」とよく言われたのを思い出しました。42歳の若死だけに、すべてがミステリアスでした。私が最も心引かれたレスラーです。 |
沢里尊 2007/03/30 22:43 |
なるほど! 沢里さんの小説『張飛』に登場する文武両道のプロレスラー大闘は、ブロディへの思いが込められた人物だったんですね。どうしてあんなにかっこいいのかと思っていました。そういえば、沢里さんのブログのサイトアドレスにもbrodyとありますね。 |
すずな 2007/03/31 08:51 |
大闘カッコイイですか。伝えときます。西に聞かれないように。 |
沢里尊 2007/03/31 16:34 |
かっこいいですよ! |
すずな 2007/04/01 09:24 |
私は高校生のとき、バイト料のほとんどを本代に費やしていました。そして今では私の蔵書は3000冊を超えています(苦笑)。 |
アッキー 2007/04/04 20:25 |
アッキーさん、すごいですね。本屋にとってありがたい顧客です。 |
すずな 2007/04/05 09:44 |
| << 前記事(2007/03/29) | トップへ | 後記事(2007/03/31)>> |