陽気な日曜日

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help リーダーに追加 RSS 慧眼なる読者との対話(12)

<<   作成日時 : 2006/11/01 10:51   >>

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 この第12話をもって『陽気な日曜日』第1部完といたします。昨年12月1日より開始したこの小説の連載を読んでいただいた皆様に心から感謝いたします。 第2部は、「第13話 安息日(ディマンシュ)」として、2007年1月1日に再開の予定です。

「これで第1部完? トップページに書いてある『カミザール』とやらはいったいどうなっているのだね。『カミザール』の『カ』の字も出てこなかったではないか。」
「いやあ、実は、『カミザール』の『カミ…』ぐらいは出てきていたんですけどねえ。」
「カミ…? 何だって?」
「実は、ディマンシュや農民たちが日常的に下着や仕事着として着ている白いシャツのことを、この地方の言葉で『カミゾ』と言うのです。まあ、現代でいえば、Tシャツのような機能の衣服ですね。」
「その『カミゾ』と『カミザール』とは、何か関係があるのかね。」
「たぶん大いに関係があると思われます。『カミザール』とは“カミゾを着た人々”という意味だという説が最も有力なのです。」
「なるほど。」
「さらに言えば、Tシャツと組み合わされる衣服といえば、ジーンズが定番ですよね。実は、このジーンズも、この小説の舞台と関係があるんですよ。このセヴェンヌ地方は古くから織物工業が発達していました。ちなみに、『カミザール』のうち名前がわかっている人々は約2000人で、そのうち職業の記録されている277人のうち103人が織物職人なのです。この地方で作られた布地は、この地方の中心都市ニームの名から、『サージ・ド・ニーム』と呼ばれ、それがやがてデニムと呼ばれるようになりました。また、このデニムは、しばしばジェノヴァ産の青い染料によって染め上げられていたので、『ジェーヌ』(ジェノヴァのフランス語での言い方)とも呼ばれ、それがアメリカで英語化して『ジーン』という言葉になったんです。」
「その複数形でジーンズというわけだな。」
「そうなんですよ。19世紀のアメリカで、この青いデニム生地で作業用のズボンが作られるようになりました。リーバイ・ストラウスという人物がこれを大々的に販売し、大当たりを取ったのが、現在世界中で、作業着や普段着として、時にはおしゃれ着として愛用されているジーンズなのです。」
「我々の世代では、ジーンズと言うより、ジーパンと言ったものだが…。」
「私がその世代に属するかどうかは微妙なところですね。」
「1977年に、大阪大学で、ジーパンをはいてきた女子学生の受講を米人講師が拒絶し、彼女を教室から追い出した事件が起こったのだ。知っておるかね。」
「ええ、聞いたことがあります。今となっては考えられないことですけどね。結局、ジーパンの何が悪かったんです?」
「たしか女性らしくないとかいう話だったな。」
「はああ?」
「とにかく、ジーパン姿で受講するのは非常識だという感覚がその講師にはあったようだ。」
「まったく理解できませんが、つまり、若者の間で流行っているファッションを敵視していたということなんでしょうか。」
「Tシャツにジーパンというスタイルは反体制というイメージが強いからではないかという気もするがね。」
「反体制ねえ…。そういう意味でも、Tシャツとジーンズは、まさに“カミザール”と深い縁がありますね。」
「で、“カミザール”とは、具体的に何をした人々なのかね?」
「それは、この小説の今後の展開をお楽しみにということで…。」
「やれやれ、やはり少しも話が進んでおらんではないか。」
画像
「あ、言い忘れていましたが、11月の連休明けからは、相棒きむらのほうしによる漫画『聖夜』を連載いたします。これはこの小説の外伝をなすもので、90頁余の中篇です。漫画の方もどうぞごひいきに。」

第12話に関する覚書

1691年6月〜7月26日
場所
ルール氏の屋敷
バヴィル知事邸
ガブリエルの家とその付近

登場人物
ディマンシュ(19歳〜20歳)…主人公。
アル(12歳)…ディマンシュの従弟。
ガブリエル(31歳)…アルの母親で、ディマンシュの義理の伯母。
シャルロット・ド・ルール(14歳)…カトリックの貴族の娘。
アドルフ・ド・ルール(19歳)…シャルロットの兄。
セザール・ド・ルール…シャルロットとアドルフの父。
バヴィル知事…ラングドックの知事。

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コメント(9件)

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ガブリエルって31歳だったんですか。何を今さら。そうか、一旦終わってしまうんですね。これほどの計画性で迫るブログ小説は、おそらくすずなさんが業界初ってやつです。たぶん。約1年書き続けるとは、凄い精神力ですね。大河ドラマと同じですから。テレビの連ドラなら11週くらい。朝のNHKは半年。1年は、やはり拍手喝采ものです。多くの人がコメントを書き込み、興味を示していたわけですから。一人相撲ほど小説家にとって辛いものはない。そういう意味では、すずなさんは、素晴らしい読者に恵まれていますね。あ、原作者だけ褒めたら俳優たちが怒ります。皆の名演技にも拍手です。シャルロットとは握手。冗談。次回作は、絵と文、両方で楽しめます。
沢里尊
2006/11/01 21:47
はい、絵と文で♪
台詞とストーリー、パソコン入力は、すずなです。
私が絵の担当です。
どうぞよろしく(^^)
きむらのほうし
2006/11/02 07:43
はい。ガブリエル31歳です。意外に若い? でも、昔は30歳を越えると女として見られなかったんですよ。19世紀の作家バルザックが『三十女』という題の小説を書いた時、そんな年齢の女性をヒロインにするなんて考えられないと、ずいぶん物議を醸したそうです。しかし、バルザック、まったくめげずに、それからも、もっと年輩の女性を主人公にした小説をいろいろと書いております。
業界初ですか! まだまだ続きますよ。(5カ年計画かも?)
本当にいい読者に恵まれました。こうしてブログで発表していなければ、出会えなかった人たちばかりです。沢里さん、みなさん、本当にありがとうございました。
役者のみなさんもご苦労様でした。しばしの休憩を。えっ、誰か代表でちょっとご挨拶したい?
すずな
2006/11/02 10:54
沢里尊様、いつもご声援ありがとうございました。いろいろとご心配をおかけしましたが、女というものは殿方がお考えになっている以上にたくましゅうございます。わたくしは、これからも悲しみや苦しみに打ちひしがれてしまうことはありましょうが、潰されてしまうことはございません。最後の最後まで生きる喜びを求め続けていくつもりでございます。(握手)
シャルロット
2006/11/02 11:33
初めまして、女優のシャルロットさま。乗馬もお見事。名演技というより、ディマンシュとの白熱したやりとりは、演技ではなかったですね。作品全体に彩りを添え、歴史の重みを背景に、艶やかなラブソングを奏でる。なくてはならない存在です。お元気で。
え? 忘れ物? ああ、ガブリエル、すずなさん、きむらのほうしさんも頑張って。
「ついでかい?」
沢里尊
2006/11/02 21:26
第一部完かあ・・感慨深いものがありますね。第二部はジュネーブの話から始まるのでしょうか。
アッキー
2006/11/03 03:38
シャルロットのコメントでディマンシュに対する評価が少し変わりました。彼は冷徹というよりはむしろ毅然としていると思うのです。ですが、今までの態度が態度だけに、冷徹と評価されても仕方ないと思う。普段からもっと謙虚に振舞っていれば評価もだいぶ違ったと思う。(といっても本人は最大限謙虚に振舞っているつもりなのだと思われるが)
アッキー
2006/11/03 03:47
アッキーさん、そうですね。作者としても、第一部の終わりまでこぎつけることができて、本当に感慨深いものがあります。
第二部はまさにアッキーさんのおっしゃるとおり、ジュネーヴ編での開始です。題名からわかりました?
ただ、このジュネーヴ編では、当時の学生の生活についての具体的な資料がほとんどなかったので、今までより一段と妄想…、いや空想に頼らざるを得ません。
すずな
2006/11/03 10:31
「彼は冷徹というより毅然としている」との評価ありがとうございます。
実は私としては、シャルロットに対する彼の最大限の思いやりを示した場面として描いたのです。
一つは、誰とも結婚するつもりはないのだから早く自分のことをあきらめさせるのが、彼女に無駄な努力をさせずにすむという配慮です。
もう一つは、彼女がユグノーの信仰そのものを自分で納得して改宗するという話ならあれほど厳しい態度を取らなかったでしょうが、祖父が、あるいは好きな人がユグノーだから、という理由での改宗なので、待ったをかけたのです。
後者の方は近代の個人主義の考え方に通じます。個人主義といえば利己主義と混同されがちですが、自分だけを尊重するのが利己主義で、すべての個人一人一人をかけがえのない存在として尊重するのが個人主義です。「○○が〜だから、私も〜」という姿勢は、他者への従属を生みます。特に信仰という自分自身の内面の問題であるからこそ、そこを曖昧にしてはならないとしたのです。
しかし、彼の表した態度にそのような真意が秘められているとは、その場にいた誰もが理解できませんでした。それはアッキーさんの指摘通りです。
すずな
2006/11/03 11:08

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